仏像のここが面白い!~如来編~
この記事では、仏像の中でも“如来”にスポットを当て、ご紹介します。
如来の詳細
如来はお釈迦様が出家された後のお姿のこと。
でも、実は!
如来には複数のお姿があり、お姿によって特徴が異なっているのです。
ここでは、代表的な如来を紹介します。
代表的な如来
釈迦如来(しゃかにょらい)
悟りを開いたお釈迦様のお姿です。
人々をこの世の真理を得られるように、導いてくださります。
右手は手のひらを前に向け、左手は手のひらを上に向けるお姿が多いです。
このお姿には意味があります。
右手は「恐れるな」左手は「願いをかなえよう」。
大日如来(だいにちにょらい)
密教(みっきょう)というお釈迦様が説いた教えの1つでは、宇宙の中心にいる仏様です。
他の如来と違い、ゴージャスなお姿です。
冠や装身具で身をお飾りになっています。
金剛界(こんごうかい)という大日如来の説く心理を表した大日如来は、忍者のように手を構えたお姿をしています。
阿弥陀如来(あみだにょらい)
極楽浄土(ごくらくじょうど)という西の果てにあるという世界に住む如来です。
死者を極楽浄土へと連れ帰る役目を担っており、死者を連れ帰る際に現世に現れるといいます。
その時のお姿を彫った仏像の手は、両手共に親指と人差し指を曲げて輪を作る形をしているそうです。
薬師如来(やくしにょらい)
浄瑠璃(じょうるり)世界という東の果てにあるという世界にお住みになる如来です。
お釈迦様が菩薩だった頃、12の大願(人々の病などの災いを無くすという誓い)を立てました。
12の大願を果たし、如来となったお姿が薬師如来です。
手に薬壺(やっこ)という薬を入れた焼き物の壺を持つお姿が多いです。
弥勒如来(みろくにょらい)
56億7000万年後の未来、地上に現れ人々を救ってくださるといわれている如来です。
仏像として彫られるお姿では様々な手の形をしていますが、左手で大地に触れているお姿が多いです。
仏像の特徴
如来のお姿の違いで、込められた願いや手の形が違うようでした。
しかし、如来とは皆“出家後のお釈迦様”です。
如来を仏像として彫る際に、ほぼ全ての仏像に共通する部分があります。
仏像として彫られた如来について、詳しくみていきましょう!
足元
蓮華(れんげ)の形を模した台座である蓮華座に座る・立っていることが多いです。
蓮華座は、煩悩や悪に染まらない清らかさを表しています。
衣服
大きな1枚の布、衲衣(のうえ)という古代インドの修行者の衣服を、体に身に着けています。
衲衣は、ぼろ布を縫い合わせて作っています。
手
指と指の間に、縵網(まんもう)という水かきのような膜があります。
全ての人々を洩らさず救うという意味があります。
ポーズは如来によって異なります。
耳
お釈迦様は、出家をする前に大きな耳飾りをつけていました。
出家後、耳飾りを外した時に出来た大きな穴が、耳たぶにあいています。
額(ひたい)
白毫(びゃくごう)という白く輝く真珠のようなものが、おでこの真ん中についています。
如来の本来のお姿では、長い毛が生えていらっしゃいます。
仏像では、長い毛の代わりに、水晶などをはめています。
髪の毛
螺髪(らほつ)という巻毛が沢山ついています。
螺髪とは、お釈迦様の長い髪の毛一本一本が右回りに美しく巻かれた巻毛のことです。
頭部
頭頂部がこんもりと盛り上がった肉髻(にっけい)という形をしています。
肉髻は、たくさんの知恵に満ちているという意味があります。
まとめ
如来について、いかがだったでしょうか。
今回のコラムでは、如来はお姿によって特徴が異なるが、どのようなお姿でも皆“出家後のお釈迦様”である、ということが分かりましたね。
また、元の姿が同じだからこそ、如来のお姿には共通する部分も多く、私達後世の人であっても「この仏像は如来だ!」と知ることが出来る、ということも分かりました。
仏像を観る際に、このコラムが参考になれば幸いです。
参考文献:『仏像を観る』奈良国立博物館
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