仏像のここが面白い!~菩薩編~

仏像のここが面白い!~菩薩編~

この記事では、仏像の中でも菩薩にスポットを当て、ご紹介します。

菩薩の詳細

菩薩とは、お釈迦様が出家される前のお姿のこと。

菩薩の特技は、変身

様々なお姿で、他者を救済します。

ここでは、代表的な菩薩を紹介します。

・代表的な如来

千手観音菩薩(せんじゅかんのうぼさつ)…たくさんの手(本当は1000本)を持ち、その手で苦しむ人々をお救いになる菩薩です。

たくさんの手には様々なものを持っています。

また、たくさんの手ひとつひとつには、目がついています。

困っている人がいないか探す為の目です。

十一面観音菩薩(じゅういちめんかんのんぼさつ)…頭上に、11の頭をもつお姿が特徴の菩薩です。

11のお顔の配置は、以下の通りです。

前3つはやさしい顔、右を向いた顔3つは口から牙が出ていて、左向きの顔3つは恐ろしい顔をしています。

後ろには笑った顔があり、頂上には仏の悟りを象徴する仏面が配置されています。

あらゆる方向に顔を向け、たくさんの人々の願いをお聞きくださる仏様です。

如意輪観音菩薩(にょいりんかんのんぼさつ)…如意(にょい)と法輪(ほうりん)を持ったお姿が特徴の菩薩です。

如意とは、孫の手のような形をしています。僧が読経や説法を行う際に、手で持つ道具です。

自分の意のまま何でも出来ることを表しています。

法輪とは、歯車のような形をした、投擲武器です。仏様の説法が悪をくじき、世の中に広く伝わるようになった様子を表しています。

手は六本生えており、六道(人が生きている間に犯した罪の結果、生死を繰り返す世界)全てを救う様子を表現しています。

虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)…まるで大空のように果てしない程の幸福と利益を授ける菩薩です。

他にも、膨大な量の記憶力を授けるとも言われています。

右手に剣を、左手に知恵宝珠(ちえほうじゅ)を持つお姿が一般的です。

剣は知恵を象徴し、知恵宝珠(仏様の教えを表す宝玉)は幸福と利益を象徴します。

地蔵菩薩(じぞうぼさつ)…地獄に落ちた人々を救う役目を持った菩薩です。

人々の苦しみを代わりに引き受けてくれる、大地のように広い慈悲を持っています。

文殊菩薩(もんじゅぼさつ)…ことわざの「三人寄れば文殊の知恵」に出てくる文殊とはこの菩薩のことを表しています。

ことわざにも使われる通り、とても賢く、知恵を司る菩薩です。

獅子に乗ったお姿が特徴的です。

仏像の特徴

菩薩はお姿が違うだけではなく、込められた願いや手の形なども違う形をしているようでした。

しかし、如来とはすべからく“出家前(王子時代)のお釈迦様”です。

菩薩を仏像として彫る際には、ほぼ全ての仏像に共通する部分があります。

仏像として彫られた菩薩について、詳しくみていきましょう!

・足元

はきものは無く、裸足スタイルです。

・衣服

羽衣…天衣(てんね)という肩から掛けられる、薄くて長い布を体にかけています。

上半身…条帛(じょうはく)という左肩から右脇に向けてかけられた細い布を肩からかけています。

下半身…像によって枚数が異なりますが、布を複数枚重ねてまとっています。

・胸元

瓔珞(ようらく)という胸飾から垂れる飾りです。

金銀、宝石を連ねています。

・腕

腕釧(わんせん)という腕輪を手首に、臂釧(ひせん)という腕輪を二の腕に着けています。

・耳

大きな穴が開いていることがあります。

・髪の毛

宝髻(ほうけい)という様々な形に結い上げた髪か、垂髪(すいはつ)という髪を肩に垂らす髪形をしています。

きれいな長い髪の毛です。

・頭部

宝冠(ほうかん)という宝石で飾った冠で飾っていることが多いです。

まとめ

菩薩は、古代インドの王族に近いお姿をしているようですね。

このようにまとめてみますと、同じ人物でありながらも、時代や目的によって様々な姿に変わるというのは、とても不思議なことのように思いました。

参考文献:『仏像を観る』奈良国立博物館